シドニー旅行記2024⑨ ~シドニー郊外に滞在する魅力・ハンターバレー編~

2024年3月に6日間旅したオーストラリア、シドニー。1都市だけの滞在でしたが、多くの魅力を感じ、想像以上に刺激を受ける旅になりました。旅行記を通してシドニーの奥深い魅力を感じていただけると嬉しいです。

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【旅の行程】
1日目:朝シドニー着、街の散策 <シドニー泊>
2日目:シドニー→ブルーマウンテンズへ <ブルーマウンテンズ泊>
3日目:ブルーマウンテンズ観光 <ブルーマウンテンズ泊>
4日目:ブルーマウンテンズ→ハンターバレーへ <ハンターバレー泊>
5日目:ハンターバレー→シドニーへ <シドニー泊> ☚今はココ
6日目:街の散策 <シドニー泊>
7日目:午後の便で日本へ

朝6:30、旅の序盤なら目覚ましに頼ることなく自然と朝早くに目が覚めるのに、5日目にもなると徐々に旅の疲れが出始める頃なのか、携帯のアラームがなければ完全に寝坊していた朝の訪れでした。

窓から外を覗くと、空はすでにオレンジ色に染まり、今にも朝日が顔を出しそうな空模様。暫くそのまま外を眺めていると、木々の周りに薄っすらと霧が出ていることに気付き、”もしかすると、霧に包まれるハンターバレーが見られるかもしれない!?” と、慌てて服を着替え外に出てみることにしました。

というのも、『Spicers Guesthouse』で私たちが滞在した「Hunter Suite」というお部屋は、ベッドルームとリビングルームに分かれており、ベッドルームの窓からハンターバレーの景色を見ることはできるのですが、バルコニーやベランダが付いていないので、広大な景色を見渡すには建物の外に出る必要があるのです。

少しこのお部屋の話をすると、ベッドルームとリビングルームの間にバスルームがあり、両方の部屋を行き来する廊下からバスルームを覗けるガラス窓がある、というユニークな造りをしています。

リビングルームには2人で寛ぐのにちょうど良い大きさのソファがあり、真ん中に凹みがつくられたクッションが置かれています。海外のディスプレイでよく見かけるこのウサギ耳のクッションが少し気になったので調べてみると、”Karate Chop Cushion(Pillow)” と呼ばれているらしく、その形を作るのに「空手チョップ」することが呼び名の由来になっているそうです。なるほど、そんな名前が付けられているんですね( *´艸`)

シドニーの都会から離れ自然豊かな郊外で滞在する時は、家のようなゆったりとした空間で過ごしたいと思い、このお部屋を選びました。

話を戻し。。。
2階建ての宿泊棟から急いで外に出てみると、辺り一面霧に覆われていて、風は一切感じないのに霧だけが上へと流れていき、空の真ん中には一番星のような存在感を放つ気球が1機浮かぶという、幻想的な景色が広がっていました。

レストラン前の林にも霧が薄っすらと立ち込めていて、霧によって生み出された木々のグラデーションがあまりに美しく、朝にしか見られないこの一瞬を逃さないよう、自分の目とカメラに景色を収めることで必死になっていると、私たちに気付いたホテルスタッフの方が「朝は濡れた芝生の水分を目当てに野生のカンガルーがやって来るから探してみてね」と、声をかけてくれました。

野鳥がホテルの敷地内にやって来るというのは想像がつくけれど、カンガルーのような大きな動物が現れるなんて本当にあるのかなぁ。。。半信半疑な気持ちで林を眺めていると、木と木の間を何かが駆けていくのが見えました。今のはもしかして!?

もう少し近づいて目を凝らしてみると、1匹のカンガルーが立ち止まってこちらの様子を窺っているのが見えました。その姿はとても愛らしく、でも人に飼いならされていたり、怯えたりする様子は一切なく、「誰のものでもないこの土地で人間と野生動物とが対等に暮らしている」ということを教えてくれているようでした。

もう少し近づきたい気持ちはありましたが、これ以上近づいて彼らの日常を邪魔をしてはいけないので、驚かせない様にゆっくりとその場を離れました。

気付けば、霧はすっかり消えてなくなり、降り注ぐ日の光で辺り一帯が黄金色に染まり、空に浮かぶ気球の数もいつの間にか3つに増えていました。

そろそろ朝食に行く準備をしよう・・・
部屋へ戻ろうと後ろを振り返ると、急に低空飛行の気球が視界に入り、想像よりも速いスピードで頭の上を通り過ぎて行きました。こんなにも間近でその姿を見てしまうと、今回一度は気球に乗ることを考えた私としては、鳥たちの目線で広大な大地を見下ろせる気球に思いを馳せずにはいられず、いつかこのオーストラリアでその夢を叶えようと心に誓ったのでした。(*˘︶˘人)

ちなみに、バルーンに描かれた “Sydney Brewery” はハンターバレーにあるビール醸造所のことで、この地の水を使用して様々な種類のビールが造られています。ハンターバレーはワインの産地でありながら、ビール醸造所やウォッカ&ジンファクトリーなどもあり、あらゆるお酒が味わえる場所なのです。

ハンターバレーの幻想的な朝の景色を堪能し、8時過ぎにホテル内のeRemoレストランへ行ってみると、人の姿はまばらで、室内のテーブル席もかなり空いていました。できれば外の景色を見ながら朝食を食べたかったので外のテラスをお願いすると、ちょうど素敵な2人掛けのソファ席が空いており、迷わずこの席を選びました。

このホテルでの朝食は、アラカルトメニューから一品を選ぶスタイルです。

注文を終え、まずは、目の前に広がるカラフルな景色を眺めながら、朝のコーヒーで一息。コーヒー文化が進んでいるオーストラリアは美しいラテアートもさることながら、コーヒーカップにもレストランやカフェの個性が感じられるので、見ているだけで楽しくなります。

暫くすると、私たちが選んだ朝食が運ばれてきました。

* Breakfast Pizza:
ポークソーセージ&ほうれん草&チェダーチーズ&目玉焼きがのったサルサソース風味のピザ
* Yoghurt Pannacotta:
グラノーラ、ドライフルーツ、ココナッツ、洋ナシが添えられたヨーグルトパンナコッタ

eRemoレストランはイタリア料理を提供するレストランなので、朝食メニューにもイタリア色が感じられ、ここでしか味わえないものをと、「ピザ」や「パンナコッタ」という名が付いたメニューを選びました。

Breakfast Pizzaは、サルサソースがピザ感を出していますが、生地はもっちり、味はあっさりしていて、上にのった目玉焼きが朝の食欲をそそるので、いくらでも食べ進みます。Yoghurt Pannacottaは、ヨーグルト風味のプリンとグラノーラを合わせて食べるのですが、プリンと言えども甘すぎずスッキリとした味わいなので、想像よりもサラッと食べられる美味しさでした。

朝食の後は、ホテルの敷地内の散策へ出かけます。
今回宿泊した『Spicers Guesthouse』は、宿泊棟エリア以外にも広大な敷地を有し、至る所に木々や林が点在しているので、ブドウ畑だけでなくこういった自然にも触れたいと思い、この日の朝は散策時間を考慮しホテル出発をゆっくりにしていました。

まずは、各宿泊棟を結ぶ外回廊の一角に造られた美しいスペースへ。
柱に絡まる蔦が朝の光に照らされて昨日よりも温かみのある色調で迎えてくれました。さりげなく置かれた椅子に座って朝の陽気を少し味わい、

その後は宿泊棟エリアから少し離れて、周囲に広がる遊歩道を歩いてみることに。

すると、遊歩道沿いにある1本の木から聞き慣れない鳥の鳴き声が。。。音をたどるように葉の間を探してみると、極彩色を身にまとう1羽の鳥が枝にとまっていました。調べてみると「キングパロット」という名のオウム科の鳥で、シドニーなどがあるオーストラリア東部に生息しているそうです。

日本なら、動物園や野鳥園などでしか見かけないような色鮮やかな鳥が、オーストラリアでは日常の風景の中に自然と溶け込んでいて、朝見たカンガルーも含め、私の常識では考えられないような動物たちがすぐ近くに存在しています。

早朝に幻想的なグラデーションを見せてくれた林に辿り着くと、幾重にも重なる木々、葉の間からこぼれる優しい陽の光、緑の草原に落ちる影、それら全てが混ざり合う景色があまりにも美しく、自分もその中に入り込みたくなりました。

そんな自然との触れ合いを楽しみ、出発の準備をするために部屋へ戻りました。

 * * * * *

この日、ホテルを出発したのは午前11:15。
「ブルーマウンテンズ国立公園」「ハンターバレー」と3日間かけてシドニー郊外を巡り、今日は再びシドニー市内へと戻る日。その前にどうしても行ってみたいレストランがあったので、シドニーに向かう途中にランチを兼ねて立ち寄ることにしました。それは、ハンターバレーのMount View地区にある『Bistro Molines』という名のレストラン。このエリアは起伏に富んだ丘が波打つように広がり、ハンターバレーの中でも独特の美しさを放つ場所です。
レストランの予約は12時、それよりも少し早めに到着したので、レストラン周辺を散策してみました。

雲一つない青空の下、緩やかなカーブを描く丘には、草原、木々、パッチワークのようなブドウ畑が混在し、辺り一面眩しいほどの緑色に覆われています。
丘のすぐ横にある道路には、独特なフォルムの樹木が並んでいて、今にも躍り出しそうなその姿に思わず笑みがこぼれてしまいます。オーストラリアにはどうしてこんなにも身近に生命力溢れる自然が存在するんだろう。。。旅行中ずっと心の中で問い続けていたテーマでした。

道路の反対側にも起伏に富んだ丘が広がり、木々の間から顔を覗かせるブドウ畑が、この地がワインの産地であることを気付かせてくれます。

実際この景色を目の当たりにしている時は、太陽の光が強すぎて木々本来の色彩まで感じ取ることができなかったのですが、写真で見返すとこんなにも様々な緑色が存在していたのかと、改めて気付かされます。

そろそろ予約していた時間になったので、レストランに向かいました。
『Bistro Molines』は、地元の食材や庭で育てられたハーブ&菜を使用した南仏料理を提供しており、美しい景色・素敵な雰囲気・美味しい食事の3拍子が揃うハンターバレーのレストランです。

屋根に絡まる緑が、より一層レストラン内部への期待を高まらせてくれる自然の演出。

一歩レストランの中に足を踏み入れると、”ここはプロヴァンスの田舎町にあるレストランなの?” と錯覚してしまうほどの素敵な空間。

レンガ造りの床に淡い色のテーブルクロス、テーブルの周りにある緑の木々や鉢植えの植物、南仏に多く点在する鷲巣村から見下ろしたかのような高台からの景色、それら全てが南仏を感じさせるのです。

屋内の席もありましたが、覆い茂る木の葉が屋根替わりとなり、水玉模様の木漏れ日がテーブルに優しく落ち、美しい景色を真正面に眺められるという、この屋外の席以外の選択肢は私にはなく、一目でこの席に座りたいと思いました。景色に恋をするとはこういうことなのか。。。

このレストランのランチメニューは最低2コースから。レストランの入り口には、通常メニューと共に、手書きで書かれた本日のスぺシャルメニューが添えられていました。

また、『Bistro Mollines』と向かい合う様に『Carillon Wines』というワイナリーがあるので、レストランでの食事以外にも、この景色を眺めながらワインを試飲するという楽しみ方もできます。

そして、レストランからもワイナリーからも眺められるこの絶景。
何度見ても、何度写真に収めても、見飽きることはありませんでした。

Bistro Mollines自慢の景色を眺めながら、南仏料理をいただく至福のランチ。

でも実はこの時、連日のコース料理ディナーで少し胃が疲れ気味だったので、本来の2コースランチ(=前菜+メイン料理)を残さず食べる自信がなく、無理を言って前菜+デザートの2コースに変えてもらいました。

ということで、メイン料理を載せられないのが非常に残念なのですが、前菜に選んだのは「生ハムと野菜の盛り合わせ」と「ニース風サラダ」。

デザートは、「フレッシュベリーのクリームブリュレ」と「ミントのソルベとメレンゲ、季節のフルーツ」を。
どの料理も鮮やかな色彩で、テーブルの先に広がる緑の丘陵地とのコントラストが美しく、新鮮野菜の瑞々しさやフルーツの爽やかさが疲れ気味の体を優しく癒してくれました。

シドニーと言えば、オペラハウスやハーバーブリッジなど、シティにのみ目が行きがちですが、車で1~3時間ほど郊外に出てみると、想像もつかないような自然の絶景が広がり、その場所でしか味わえない個性的なホテルや素敵なレストランがあり、シティにはない顔を見せてくれます。
今回の旅で巡ったシドニー郊外は、ブルーマウンテンズ国立公園とハンターバレーの2箇所のみでしたが、帰ってきて調べると、まだまだ魅力的な場所が沢山あることに気付き、シドニーの奥深さを実感したのでした。

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