メルボルン旅行記2025⑤ ~ヤラバレーで心を満たすワイナリー巡り~

2025年2月に5日間旅したオーストラリア「メルボルン」。旅の半分を郊外に滞在し、街だけでは知り得ないメルボルンの魅力に触れてきました。この旅行記通してメルボルンの奥深さを感じていただけると嬉しいです。

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【旅の行程】
1日目:午前 成田発→シンガポール経由→メルボルンへ <機内泊>
2日目:朝メルボルン着、バララット & デイルスフォードへ <デイルスフォード泊>
3日目:デイルスフォード観光(農場&町歩き)<デイルスフォード泊>
4日目:デイルスフォード → ヤラバレーへ <ヤラバレー泊>
5日目:ワイナリー巡り、ヤラバレー → メルボルンへ <メルボルン泊>
6日目:メルボルンの街散策 <メルボルン泊>
7日目:メルボルンの街散策、午後の便で日本へ

Yarra Valleyにあるワイナリー併設のホテルで迎える朝。
何度も訪れたことのある国であれば、朝の風景がどんな感じなのか大体の予想がつくけれど、未だ見ぬ土地で迎える朝は途端に自分が臆病者になったかのようにカーテンを開けるのに身構えてしまいます。真っ暗な部屋で耳を澄ましてみても何も聞こえず、果たしてどんな景色が待っているのだろう、、と好奇心と不安が入り混じる中、そっとカーテンを開けると、

信じられないほど神秘的な夜明けが始まろうとしていました。

「ここは、宇宙かどこかなの。。。?」無意識に私の口からもれた言葉。

透き通るような群青の空からは無限の広がりを感じ、散らばった小さな雲は無数の星に、赤く染まる雲や空は少し不気味な銀河を連想させ、そんな空を映し出す湖以外は全て暗闇に包まれていたので、目の前に広がる景色が ”底知れず広がる宇宙” のように見えたのです。

慌てて母をベランダに呼び、二人して無言で神秘的な夜明けを眺めていると、空は次第に明るくなり、無数に散らばる小さな雲がどんどんと存在感を増していきました。

なんて幻想的な朝なんだろう。。
湖の部分を手で隠し空だけを眺めてみても十分な美しさなのに、そこに鏡のような湖が加わると一気に景色に広がりがでて、万華鏡の中に身を置いているかのような錯覚を起こしてしまう、、ブドウ畑の丘に立ち並ぶ一本一本の木々もシルエットが際立ち、このホテルが見せたかった最上級の景色を目の当たりにしている気分でした。

そのまま目線を右にずらすと、ふわふわとした雲がパステルカラーを身にまとい、湖と連動して景色の中にマーブル模様を描き出す。同じ空でも雲の形状が変わるだけで受ける印象が異なり、オーストラリアの空は一体私たちにどれだけのバリエーションを見せようとしてくれているのか、全く理解が追い付きません。

ただただ圧倒されっぱなしの私たちを尻目に空は刻々と変化を続け、さっきまでの青さはどこに消えてしまったんだろうと不思議になるほど紫と赤だけの世界に様変わりし、自然の力はこんなものじゃないと私たちに語り掛けているようでした。

更に赤味を増す空。高層にあるベールのような雲だけが赤く染まり、低層にある雲はそのままに、2種類の雲の色味や質感の違いに気付かされるのも、心に余裕が生まれる旅の醍醐味だなと感じます。
そして、最高潮の色づきをもって、今朝一番のゴージャスな空を見せてくれました。

この空の横では、ブドウ畑の丘と同じ曲線で浮かぶ雲がピンクに染まり、空と湖とが織りなす奇跡のような美しさに、こんなにも自然物と人工物とが完璧に調和し合うことがあるのかと見入ってしまいます。

少しずつブドウ畑が姿を現し始めると、神秘の世界から現実の世界へと引き戻されていく感覚。それでもなお異次元の美しさはそのままに、こんなにも幻想的な朝を体験できるとは想像もしていませんでした。

ブドウ畑の緑がはっきり見えるようになり、もうこれ以上空も変化しないだろうと、一度部屋に戻り朝の支度を始めることに。今思えば、夜明け前に目の前の丘がどこよりも赤く染まっていたことの意味に容易に気付けたはずなのに、この時はYarra Valleyが目覚める瞬間に立ち会えるなんて夢にも思わず、

ただ黙々と出発の準備を進めていると、窓から眩しい光が差し込んできて、慌ててベランダに出てみると、ブドウ畑の丘から今にも朝日が顔を出そうとしていました。

- どおりで、夜明け前から目の前の丘がどこよりも赤く染まっていたんだ。。。

まさか自分達の部屋からYarra Valleyに昇る朝日まで見られるなんて思いもしていなかったので、朝からこんなにも自然の恩恵を得ていいのかと、感謝と感動で胸がいっぱいになりました。

私が旅をする上でいつも心にあるのが、「一瞬の奇跡を逃さない為にどんな時間も無駄にしない」「同じ景色でも時間や空模様が違えば全く別の景色になる」ということ。今回も、陽の光と共に目を覚ましていたら幻想的な朝の景色を簡単に見逃していただろうし、このホテルが見せたかったYarra Valleyの奥深い美しさにも気付けなかったかと思うと、旅における一秒の尊さを感じずにはいられませんでした。

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朝食はホテルにあるレストランにて、ガラス張りの壁から全面に広がるブドウ畑を眺めながら。
パンやペストリーは真ん中にセッティングされたテーブルから自由に取り、卵料理やパンケーキなどの料理はアラカルトメニューから注文します。

こんな風に素晴らしい景色を眺めながら食べるホテルでの朝食も、こだわりのインテリアや地元の人の笑い声に囲まれながら食べるカフェでの朝食も、両方味わいたいと思わせてくれるのがオーストラリアの魅力。

◎参考までに…
ワイナリー併設のレストランは、宿泊施設があったとしても毎日営業しているわけではなく、今回滞在した『Re’em Yarra Valley』の朝食は、「営業日=月・木・土・日曜 // 休業日=火・水曜(2025年時点)」で、休業日の場合はお部屋にコンチネンタル朝食を持ってきてくれるとホームページに記載がありました。
例えホテルのレストランが営業していなくても、徒歩圏内にレストランがあったり、自家用車やレンタカーがあれば遠くのレストランへ食べに行くことができますが、それらが困難な場合は、ホテルのレストランの営業日(朝食と夕食で異なることも)を確認しながら、行程を組まれることをお勧めします。

朝食後部屋に戻ると、ブドウ畑は陽の光を浴びてより一層緑が輝いて見え、幻想的な朝とは全く違う表情をしていました。そう感じられるようになったのも、このホテルに滞在し様々な景色に出会えたからで、Yarra Valleyの魅力は芳醇なワインを味わうだけでなく、景色の深みを味わうことにもあるんだと気付かされたようでした。

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ホテルをチェックアウト後、この日は半日かけてYarra Valleyのワイナリー巡りをします。
メルボルン発着のワイナリーツアーでも、ワイナリー、ビール醸造所、ショコラトリー、地元の食材店など複数箇所組み合わせたツアーが多数あります。ですが、私たちはYarra Valleyに滞在することが一番の目的だったので、ツアーには参加せず、専用車でワイナリー2軒とチョコレート店の計3箇所を巡りました。
🍇SOUMAH Wines(ワイナリー)
🍇DOMAINE Chandon(ワイナリー)
🍫Yarra Valley Chocolaterie & Ice Creamery(チョコレート販売店)

ワイナリーやお店はどこも比較的近くに点在しているので、半日でも複数箇所巡ることができます。
1軒目の『SOUMAH 』へは、オープン時間に合わせてホテルを10時に出発し、10:15頃に到着しました。

私が今回のワイナリー巡りに求めたのは、美しいブドウ畑が間近で見られるワイナリーと、モダンで洗練されたワイナリーの2箇所を訪れ、異なる雰囲気を味わうこと。以前、シドニー近郊のハンターバレーでワイナリーを数箇所訪れた時に一貫して驚かされたのは「各ワイナリーのセンスの良さ」でした。

ワインの味だけで勝負するのではなく、
品選び~テイスティング~食事~景色、全てにおいて各ワイナリーの個性や世界観が散りばめられ、まるで隠れ家ホテルやリゾートホテルに足を運んだかのような雰囲気を味わわせてくれる

だから今回も、”このワイナリーの世界観に没入したい” と感じられる2箇所を選びました。

1軒目の『SOUMAH』は素朴な雰囲気と独特な景色が魅力。
私が頭の中で思い描くブドウ畑と言えば、緑の絨毯を敷き詰めたかのように辺り一面ブドウ畑が広がり、その間に集落や教会が点在しているイメージなのですが、SOUMAH周辺は乾燥地帯のような黄土色の大地がメインに広がり、その上にブドウ畑が点在するという今までに出会ったことのない景色。

こじんまりとしたワイナリーの中に入ると、木製の棚にずらりと並べられたワインボトルに出迎えられ、奥の部屋ではすでに複数のグループがワインテイスティングを行っていました。私たちはワインと共に景色を楽しむことが一番の目的だったので、カウンターで白とロゼを注文し、グラス片手に外のテラスへと移動。外に出ると、中の賑わいが嘘のように静まり返っていました。

全面ガラス張りの外壁に空や木々が反射しているからか、建物と周囲の景色とが非常に馴染んで見え、大きなユーカリの木が全体のバランスを取り、手のひらサイズに収まる自然とワイナリーとの調和具合が絶妙で、心にゆっくり沁みわたるような居心地の良さを感じました。

ガラス張りの内側はレストランになっていて、窓枠と扉はパステルブルー、椅子とテーブルの側面はパステルグリーン、天井からは植物が吊るされ、ベーシックカラーではなく敢えてグリーン系の色を基調にしたところに小規模ワイナリーならではの独自性が光ります。

そしてワイナリーの前には美しく並ぶブドウ畑のラインが緩やかな斜面を駆け上がり、波打つ丘と融合し合って、見ているだけで自然への愛おしさが生まれてくる優し気な風景が広がり、どこを切り取っても、作り手の愛情や温もりが伝わってくるのです。

外のテーブルに座り、この極上の景色を眺めながらいただく至福の一杯。どちらのワインもひんやりとして、スッキリとしたドライな味わい。空には細かい鱗雲が広がっていて、また新たな空模様との出会いに喜びを感じながら、SOUMAHの世界観を堪能しました。

『SOUMAH』を後にし、次なるワイナリー『DOMAINE Chandon』に到着したのは11:15頃。

ここは、フランスのモエ・エ・シャンドンが設立したワイナリーで、オーストラリア以外にあと5箇所(アルゼンチン、アメリカ、ブラジル、中国、インド)で世界展開しているだけあり、敷地内に入った途端、上品で洗練された空気に包まれました。

『DOMAINE Chandon』は、現地ツアーでもほとんど組み込まれている人気のワイナリー。
個人的には、万人受けする大規模なワイナリーよりも、個性が光る小規模ワイナリーの方が好みなので、始めは候補に入れていなかったのですが、DOMAINE Chandonにある「Lounge Bar」を一目見た瞬間、こんなお洒落な空間でワインを味わってみたいと心を鷲掴みされたのです。

建物の中に入ると、入り口にカウンターがあり予約の有無などを聞かれます。私たちはホームページでLounge Barを11:45に事前予約していたので、そのことを伝えると、すぐ席に案内してくれました。

開放感溢れる大きなガラス窓からは、白いパラソルが立ち並ぶ外のテラス、広大に広がるブドウ畑、遠くに連なる山々を臨むことができ、中央に設けられたソファは優美な曲線を描き、左右対称のシンメトリデザインが格式高い美しさを演出、洗練されたという意味の英単語 - sophisticated, elegant, classy - をどれだけ集めても表現しきれない上質空間に、心がときめきます。

私は、オーストラリアで初めて作られたオレンジ色のスパークリングワイン Chandon Garden Spritz を、母はノンアルコールのモクテルを注文しました。

Chandon Garden Spritz (オレンジシャンドン)は、ロゼのスパークリングワインに自家製のオレンジビターズをブレンドしたもので、氷とドライオレンジを入れて飲む新しい形のスパークリングワイン。口に注ぎ込んだ途端にオレンジの風味がふわっと広がるスッキリ爽やかな味わいが特徴です。

ここでの食事は昼食も兼ねていたので、二人でシェアできるハムやクラッカー、バケットなどの盛り合わせも一緒に頼みました。

ガラス窓から陽が差し込むと、オレンジシャンドンが氷と共にキラキラと輝き、その煌めきを見ているだけでも幸せな気持ちになり、豊潤さを楽しむワインとは一味違う、爽快でフルーティーな味わいを堪能しました。

この日は土曜の午後ということもあり、私たちのような観光客だけでなく、ドレスアップした女性グループや、家族ぐるみの友人、会社の同僚たちを思わせる人達も沢山見かけ、Lounge Barは週末を優雅に過ごしたいという地元の人たちの活気にも華やいでいました。

ワイナリーを後にする前に、ラウンジの横にあったショップで、お土産用にオレンジシャンドンのボトルと、スタッフの方が身に着けていたエプロンを購入。

最後に、ショッピングモール程の大きさがある『The Chocolateries Yarra Valley』に立ち寄って、チョコレートをいくつか購入しました。きっと一般的な味なのだろうとあまり期待していなかったのですが、購入したどれもが味わい深く本格的なチョコの味で、こんなに美味しいならもっと買っておけば良かったと後悔した程なので、機会があれば、是非立ち寄ってみて下さい。

そして旅も終盤、のどかな景色に癒されっぱなしだったメルボルン郊外の観光を終え、オーストラリアの流行の発信地であるメルボルン市街を巡ります。

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