メルボルン旅行⑦ ~メルボルンの街歩き、ヴィンテージなフィッツロイ&アートな路地~

2025年2月に5日間旅したオーストラリア「メルボルン」。旅の半分を郊外に滞在し、街だけでは知り得ないメルボルンの魅力に触れてきました。この旅行記通してメルボルンの奥深さを感じていただけると嬉しいです。

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【旅の行程】
1日目:午前 成田発→シンガポール経由→メルボルンへ <機内泊>
2日目:朝メルボルン着、バララット & デイルスフォードへ <デイルスフォード泊>
3日目:デイルスフォード観光(農場&町歩き)<デイルスフォード泊>
4日目:デイルスフォード → ヤラバレーへ <ヤラバレー泊>
5日目:ワイナリー巡り、ヤラバレー → メルボルンへ <メルボルン泊>
6日目:メルボルンの街散策 <メルボルン泊>
7日目:メルボルンの街散策、午後の便で日本へ

メルボルン市内では、「5日目午後 / 6日目終日 / 7日目午前」の3日間かけて街を巡りましたが、実質的には2日間。旅行前はこれでも十分見て回れるかなと思っていましたが、ブログを書いている今は「もっとあの路地を歩けば良かった」「まだ見ぬ場所にも行ってみたい」というやり残しの気持ちが強く、今回の旅だけでは到底メルボルンの魅力を語り尽くすことはできません。
それでも、刺激的なフィッツロイの街並みや、個性的な路地に出会う度にメルボルンが好きになり、『アートで溢れる街』に魅了され続けました。
今回はそんなメルボルンで心奪われた ”アートな風景” について書き綴ります。

街全体がアート作品!?「フィッツロイ」

メルボルン市内でも、一際個性の光るエリア『Fitzroy(フィッツロイ)』。
ある記事では、Fitzroyはメルボルンのボヘミアン文化の発祥の地で、社会的ルールや慣習にとらわれず、自由奔放で芸術的理想を追求する生き方が根付いた街と紹介されており、”一体それはどんな街なんだろう?” と訪れる前から興味がありました。

緑濃いカールトン庭園を後にし、Gertrude Street(ガートルード・ストリート)を西へ進めば数分ほどで辿り着ける『フィッツロイ』。通りにはお洒落なお店やカフェが立ち並び、ビルに囲まれた中心地の喧騒感とは全く異なる穏やかで洗練された空気が広がります。

ただもう少しポップで遊び心のある雰囲気をイメージしていた私には、この落ち着いた街並みが何となくしっくりいかず、始めは ”これが実際のフィッツロイ…?” と半信半疑な気持ちで歩みを進めることに。そんな中、一際若者たちで賑わっていた『Morning Market』というお店が目に留まりました。

一見するとレトロな建物なのに、側面には芸術的なストリートアートと、それを塗りつぶすかのような激しい落書きが描かれていて、何かを訴えかけているのかと思わせる独特な外観。でも店内に入ると、常温食品や雑貨が並ぶ傍ら、コーヒーやペストリーを販売するカウンターもあり、外観からは想像もつかないお洒落な空間が広がっていて、この真反対の組み合わせが妙にフィッツロイらしく、最初の違和感は徐々に薄まっていきました。

古き良き時代の建物が次々と現れる中でも、一貫して感じる斬新な色使いと個性的な装飾。歩いているだけで刺激を受ける街並みに、どんどんとフィッツロイの真髄へ近づいている実感が湧いていきます。

そして、目抜き通りの一つである Brunswick Street(ブランズウィック・ストリート)に足を踏み入れると、行き交う人のファッションや街の雰囲気は更にディープで個性的になり、”歴史” と ”ストリートアート” と ”自由な発想” とが絶妙に混ざり合う独特な街並みに、暫く言葉を失ってしまいました。

哀愁漂う歴史建造物の上に現代のカッコ良さが塗り重ねられた建物がずらっと並び、退廃的な外観やくすんだ色調は決して王道の美しさではないけれど、何故か引き込まれてしまう魅惑的な街並み。

通りには、くすんだ色の建物とは対照的にカラフルな花がセンス良く並べられていて、単なるヴィンテージ風の街並みではとどまらない、洗練されたお洒落さも取り入れているところが、さすが流行の発信地フィッツロイ。

建物の至る所に描かれた落書きを初めて見た時は、あまりの衝撃に困惑する気持ちが大半を占めていましたが、時間が経つにつれて、それが人々の魂の叫びを表現しているようにも見え、最終的に落書きを含めてフィッツロイのアートだと感じられるようになるから不思議です。

時には、個性が爆発した建物を目の当たりにし、屋根の上に乗っかる陽気な人の銅像や、そんな所にまで落書き!?など、あまりの自由奔放さに思わず笑いが込み上げてくることも。

裏通りに入ると、壁だけでなく道にまでストリートアートが描かれていて、街を散策しているはずが、いつの間にか様々なアーティストによって作り上げられた現代アート美術館の中を彷徨歩いている感覚にもなり、想像以上に興奮・困惑・驚きが押し寄せてくる刺激的な街歩きになりました。

フィッツロイの楽しみ方は、そんな個性的な街を見て回るだけでなく、お洒落なカフェ・雑貨屋・古着屋などを巡ることにもあり、今回はBrunswick Street沿いにある雑貨屋『Zetta Florence』にしか立ち寄りませんでしたが、フィッツロイに隣接するコリングウッド(Collingwood)まで足を伸ばせば、更に倉庫を利用したカフェや雑貨屋など見るところが尽きないので、次は店巡りをメインの目的にこの場所を訪れたいと思っています。

最後に、フィッツロイで一番衝撃を受けた街アートの写真を。

落書きまみれの建物から鉄製のヒマワリや食虫花が生えていて、小さなクモが壁に群がっているというアート。あまりにも毒々しい作品ですが、テーマパークのような上乗りの美しさよりも、ずっと人間らしい表現の奥深さが感じられ、フィッツロイの街にあたりまえの様に溶け込んでいました。

メルボルン中心地・魅力溢れる路地巡り

独自のストリート文化に溢れかえるフィッツロイの街並みを ”現代アート美術館” と例えるなら、メルボルンの中心地CBDに点在する路地は、街に潜む ”隠れた芸術” と私なら例えます。
ビル群に埋もれてしまいそうな小さな路地も、一歩足を踏み入れた途端に空気が一変し、別の街に迷い込んでしまったのかと錯覚を起こすほど、小さくも大きな個性を秘めた場所。そんな ”隠れた芸術” を探すべく、幾つか路地を巡ってみました。

街の中心にあるフリンダースストリート駅から徒歩3分程の場所にある『デグレイブス・ストリート(Degraves Street)』は、誰もが簡単に見つけられる最も有名な路地の一つ。

迫りくるビルの両脇から色とりどりの看板がぶら下がり、喧騒感溢れる大通りとは趣の異なるお洒落な雰囲気に包まれています。通りの両脇にはカフェが軒を連ね、途中からは中央にテーブルとパラソルが並べられていて、そこだけを切り取るとパリの小径にも見えてしまう素敵な路地。

そんな『デグレイブス・ストリート』と交差する通りFlinders Laneを超え、更に細い路地『センター・プレイス(Centre Place)』に足を踏み入れると、さっきまでのお洒落さは一変、薄暗い空気が辺り一帯を支配します。ビルに囲まれた狭い空からは僅かな光しか入らず、危険な香りすら漂ってきそうな路地ですが、黒い街灯が魅せる芸術的なフォルムや、無法地帯を彷彿とさせる看板のデザイン、壁から生える無機質なベランダが、見事なまでにこのダークな世界観を作り上げていて、不思議とシャッターを切る手が止まりませんでした。

次に目指したのは、街の北側に位置する『ランキンス・レーン(Rankins Lane)』。
この路地に辿り着くまでに、ビルが乱立する大通りを超え、次から次と走り抜けるトラムや足早に歩く人々を横目に見ながら歩いてきましたが、この路地に足を踏み入れると今までの喧騒が嘘のように静まり返っていて、レンガと緑が作り出すコントラストに思わず見入ってしまいました。寂れたものを蘇らせる植物の力は偉大です。

隣りにある『ウォーバートン・レーン(Warburton Lane)』も同じような雰囲気で、そんな路地が続く通りLittle Bourke Streetを少し西へ進めば『ハードウェア・レーン(Hardware Lane)』に辿り着き、石畳の細い路地にテーブルがびっしりと並べられた小さなグルメ通りへと一変します。
この時はまだ16時過ぎで人の姿はまばらでしたが、夜になると、様々な料理の香りと笑い声で溢れかえる活気に満ちた風景に変わることは容易に想像でき、そんな姿も見てみたいと思わせてくれる場所でした。

そんな路地巡りをしている間にも、思いがけずストリートアートに遭遇することがあり、犬も歩けば棒に当たるということわざにちなんで、”路地を探せばアートに当たる” という表現がメルボルンにはぴったりだなと、訪れたからこそわかる発見をしました。

そして、路地巡りの締めくくりに訪れたのが、デグレイブス・ストリートと同じくらい有名な『ホージア・レーン(Hosier Lane)』。ここは今までの路地とは段違いの威圧感があり、アーティスト達の心の叫びが押し迫ってくるようなアートに埋め尽くされた路地。

一見すると落書きが無作為に殴り書きされているように見えますが、一つ一つとしっかり向き合うと、それぞれのデザイン・色選び・世界観は全く異なり、無数の名もなきアート作品が壁に浮かび上がってくるのです。

消火栓(?)をロボットに見立て、それを檻に閉じ込めたような作品を眺めていると、意外にも色に優しさがあり、繊細なグラデーションも用いられていて、徐々に心が和んでいくという不思議な感覚を味わい、

向かいの壁に描かれた、奇抜な色のロックっぽいアートに目を向けると、心が激しく揺さぶられました。

ホージア・レーンの袋小路には、流石に行き過ぎなのではと思うほどの落書きが描かれていて、あまりの迫力に足がすくみ、これ以上奥に進むことはできませんでしたが、

上を見上げると、ビルの5階分くらいの高さにまで緻密なアートが描かれていて、目の前にキャンバスがあるなら場所は選ばないというアーティストたちの熱い思いが伝わってくるようでした。

この路地に描かれているアートは、強烈なインパクトを与えるものだけでなく、芸術的な美しさに魅せられるものもあり、

こんなにも美しいアートを描かれたら、よほどの腕前がないと上書きする自信なんて持てないなと私なら思うけれど、きっと数ヶ月後には新たなアートに塗り替えられ、無言の競い合いが繰り広げられる。。。そんなことを想像すると、ここはアーティストにとって真剣勝負の場なんだと見る目も変わります。

最後に日本語の混じるアートを見つけ、出来る限り長くこの絵が残るといいなとエールを送りたくなりました。

”頑張れ、日本!”

自然とアートが調和するガーデンシティ

個性豊かな路地やストリートアートに刺激を受けた後は、自然の色彩に癒されたくなり、ヤラ川の南東に位置する公園に足を運びました。クイーンビクトリア庭園の一角にある小道は、永遠に続く街路樹が幻想的で、ポストカードの世界を見ているようでした。

公園内を南に進むと、個性的なフォルムの木々が連なり、幹には目の覚めるようなピンクの水玉柄!

この通りの向かい側にビクトリア国立美術館があり、ちょうどこの頃、草間彌生さんの作品が展示されていたので、周辺の木々も彼女の代名詞である水玉柄に彩られていたようです。

メルボルンを訪れる前から、街の南を真っ直ぐに貫くセントキルダ通り(St Kilda Road)に興味があり、緑濃い木々と信号機だけの一本道をトラムが走り抜けていく様子を見てみたいと思っていました。そこに、偶然にも草間彌生さんのデザインが加わり、自然とアートが見事に調和するという奇跡に遭遇したのです。

草間彌生さんは、幼い頃から見えていた「世界が水玉で覆われる幻覚」の恐怖から逃れるために、それを絵に描き留めたことが創作の原点となったそうですが、今回偶然目にした水玉模様の景色も、なぜか見入ってしまう不思議な力があり、美術館に入らずして、彼女の世界観に触れた気がしました。

まだまだ続く公園の中を歩いていると、一際存在感を放つ木に遭遇することがあり、周りの木とは明らかに異なる枝ぶりや艶やかな幹、そして独特のフォルム。

また別の木は、周りのどの木よりも背が高く、細長い体が倒れないよう二本足で踏ん張っている様子が人の姿にも似ていて、自然の木でさえも、メルボルンではアート作品の一部に見えてしまいます。

公園の随所にベンチがあり、緑のトンネルが美しい場所にも漏れなく置かれていて、王立展示館の前に広がるカールトン庭園をはじめ、夏のメルボルンには色彩豊かな緑を愛でるという楽しみ方もあることを、今回の旅を通して知りました。「ガーデンシティ」という別名を持つ理由にも納得です。

そして、この旅の最後に訪れた場所が『戦争慰霊館(Shrine of Remembrance)』。
あらゆる戦争で犠牲になった戦没者を祀るための慰霊館で、高台からは、ヤラ川の南に広がる広大な公園とメルボルンのビル群とが織りなすパノラマ風景が一望できます。その眺めはあまりに壮大で、中心地から見上げる空からは想像もつかない立体的な空が広がり、鳥のような目線でメルボルンの街を見ることができるのです。

そして、真正面のビルをよく見ると、人の顔が浮かび上がるような細工がされていて、最後の最後まで ”メルボルンアートに溢れる街” を感じさせてくれました。

旅の締めくくりに、戦争慰霊館からほど近いカフェ『The Kettle Black』に立ち寄りました。
ビルとビルの間にどうしてこんなにも美しい建物を造ろうと思ったのか、見ているだけで色々な不思議が湧いてきます。訪れたのは、月曜日の午前10:30と人が少なそうな時間帯にもかかわらず、中も外も人でいっぱい。ちょうど食べ終えた人との交代でテラス席に座ることができました。

注文したのは、母とのシェアで「ブルーベリー&リコッタパンケーキ」と、ドリンクはアイスラテとレモングラス・ジンジャーティーを。パンケーキは見た目も色鮮やかで、甘さ控えめの温かいふんわり生地にブルーベリーの風味がしっかりと感じられ、食材本来の美味しさが凝縮された本格的な味わい。メルボルンのカフェは、毎回どこを選んでも期待以上の体験を味わわせてくれました。

この記事の最後に今回宿泊したホテル「The Langham Merbourne」から見たお気に入りの景色を2枚。
陽の光の当たる方向、空の色が違うだけで、こんなにも街の表情が変わるんです。

陽が沈んだ後の紫に染まる空とメルボルン
朝日が昇った後、東から光を浴びるメルボルン

初めて訪れた『メルボルン』は、郊外の美しさに癒され、市内の個性的な街並みに刺激を受け、様々な感情が入り乱れる旅になりました。前の年に訪れた『シドニー』と比較すると、「シドニー=優等生の街」「メルボルン=手のかかる街」と言う表現が私の中ではしっくりいき、シドニーはどこを見ても綺麗に整っていて絵になる風景が点在しているのに対し、メルボルンは自由奔放で個性が強く長所を見つけるのに時間がかかる、というのが率直な感想でした。でも、旅を終えた今、何故かメルボルンへの未練の方が強く、愛おしさが増していく・・・『メルボルン』とはそういう街なのです。

この記事の始めにも書きましたが、調べれば調べる程、魅力的なエリア、行ってみたいカフェ・レストラン・お店がまだまだ出てきて、今回の旅ではメルボルンの半分も味わい切れていないと実感しているので、もう一度必ずメルボルンを訪れて、もっと街の魅力に触れたいと思っています。

これで、メルボルンの旅の記録は終わりです。
新たな、オーストラリアでの冒険は次のブログにて。。

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