シドニー旅行記 2024⑦ ~ハンターバレーで至福のワイン体験~

2024年3月に6日間旅したオーストラリア、シドニー。1都市だけの滞在でしたが、多くの魅力を感じ、想像以上に刺激を受ける旅になりました。旅行記を通してシドニーの奥深い魅力を感じていただけると嬉しいです。

* * * * * *

【旅の行程】
1日目:朝シドニー着、街の散策 <シドニー泊>
2日目:シドニー→ブルーマウンテンズへ <ブルーマウンテンズ泊>
3日目:ブルーマウンテンズ観光 <ブルーマウンテンズ泊>
4日目:ブルーマウンテンズ→ハンターバレーへ <ハンターバレー泊> ☚今はココ
5日目:ハンターバレー→シドニーへ <シドニー泊>
6日目:街の散策 <シドニー泊>
7日目:午後の便で日本へ

ブルーマウンテンズのホテルで迎える2回目の朝、6:30頃に外のテラスに出てみると地平線が薄っすらと赤く染まっていました。でも今朝は昨日ほど空は透き通っておらず、雲の姿もあちらこちらに見えます。

昨晩見た天気予報では、ブルーマウンテンズは今日から曇天模様。その予報通り、時間が経つにつれて雲はどんどんと増えていきましたが、それでも雲の切れ間から神々しい朝日を見られたことは本当に幸運でした。

3月は比較的降水量の多い時期で特に山の天気は変わりやすいこともあり、ブルーマウンテンズで朝日を見るなんて期待すらしていなかったので、2日間連続で ”美しい朝空” に出会えたことは奇跡だと思っています。

今日は8:30にホテルを出発し、車で約3時間かけてハンターバレーへ向かう日。
ホテルでの朝食は8時オープンと出発まで時間がなかったので、お部屋のテラスで朝食を食べることにしていました。朝食の食材は、昨日のブルーマウンテンズ観光用に、ホテルにお願いをして作ってもらっていたピクニックランチの残り。量があまりに多かったので、半分をお部屋の冷蔵庫に保存して、この日の朝食用に取っておいたのです。

チキンラップ、クラッカー&チーズボックス、フルーツボックスに、オレンジジュースとコーヒーを用意して、緑濃い森を眺めながらの朝食。前日にレストランで食べた優雅な朝食とまではいきませんが、自分達だけのプライベート空間と自然に囲まれたこの環境が何よりの贅沢で、別の形での至福時間を満喫しました。

そして、最後に美しい景色を目に焼き付け、ブルーマウンテンズを後にします。

出発前にホテルのチェックアウトを済ませ、予定通り8:30に専用車が迎えに来てくれました。

これまでの旅のルートを地図で振り返ると、
2日目:シドニー ==> ブルーマウンテンズ(約80km / 車で約1時間30分)
4日目:ブルーマウンテンズ ==> ハンターバレー(約190km / 車で約3時間)

8:30にホテルを出発し暫くは牧草地帯の中を走りましたが、その後は上の地図のように国立公園に挟まれた道を北上します。車窓からの眺めはほとんどが森林地帯で、進んでも進んでも緑濃い木々に囲まれ、豊かな自然はブルーマウンテンズ国立公園だけではないと思い知らされます。そして途中いくつか山を越えると、ようやく視界が開け、丘や平原にブドウ畑が点在するハンターバレーに辿り着きました。予定通り11:30頃の到着でした。

まず向かったのは、宿泊ホテルである『Spicers Guesthouse』。
ホテルのチェックインは15時からでしたが、チェックイン前に「自転車でのワイナリー巡り」を予定していたので、その自転車をホテルに借りに来たのです。

ハンターバレーにはいくつも宿泊施設がありますが、私がこのホテルに興味を持たのは、ブルーマウンテンズで宿泊した「Spicers」がハンターバレーにもホテルを2軒所有していることを知ったのがきっかけでした。

2つのホテル共に邸宅のような優雅さがあり、自転車でワイナリー巡りをしたいという私の望みを叶えるべく自転車の貸し出しも行っていたので、希望にピッタリ。最終的に自分の行きたいワイナリーとホテルとのアクセスの良さで『Spicers Guesthouse』を宿泊先に選びました。

白を基調としたホテルは2階建ての邸宅風で、幾つかの棟に分かれており、棟と棟をつなぐ回廊の周りには芝生の庭や木々が点在するオープンで優雅な造り。
道なりにホテルの入り口へ向かうと数台の自転車が目に入り、きっとこれを借りるんだろうなぁと想像しながらレセプションの扉を開けました。

今日からの1泊と正午~17時まで使える自転車を事前予約していることを伝えると、すぐに手続きをしてくれ、数分前に入り口で確認した自転車置き場へ案内されました。

始めは普通の自転車(無料)を借りるつもりでいたのですが、事前予約の際に私が行こうとしているワイナリーを伝えると、「坂道があるのでE-Bike(電動自転車)をお勧めします」とのことだったので、追加代金はかかりますがE-Bikeで予約しました。

レセプションで、ワイナリーが記載されているハンターバレーの地図を入手し、スーツケースなどの荷物はホテルに預けて、いざ出発です。

ハンターバレーは上記地図のように、Branxton、Pokolbin、Cessnockなどいくつかの地域に分かれていますが、シドニー発のオプショナルツアーで訪れるワイナリーや有名な宿泊施設のほとんどは「POKOLBIN地区」にあり、私のホテルもこの地区にあります。

今回なぜオプショナルツアーではなく自分達でワイナリー巡りをしようと思ったかというと、
● オプショナルツアーでは4~5箇所のワイナリーを訪れるが、私たちは2箇所ほどで充分
ブドウ畑が点在するハンターバレーの美しい景色を堪能し、そこで滞在したい
という思いがあったからです。

その為、ワイナリーも、自分好みのワインを見つけることが目的ではなく、ブドウ畑の景色とワイナリーの雰囲気が素敵な所という条件で下記2つを選びました。
🍇 Ivanhoe Wines
🍇 Vinden Wines
どちらのワイナリーもPOKOLBIN地区にあり、ホテルから自転車で30分以内で行ける距離です。

まずは、『Ivanhoe Wine』を目指します。

12時にホテルを出発、木々が点在するホテル周辺から主要道路に出て少し走ると、一気に視界が開け、広大な牧草地と湖が現れました。湖の先には緩やかな曲線を描く丘が広がり、遠目ではありますが緑色の絨毯を敷き詰めたようなブドウ畑も見えました。湖は空の色を映し込み、小麦色の牧草地には同じ格好をして草を食べる馬の姿もあり、それはまさしく牧歌的な風景画の世界!!

私が想像するハンターバレーは、もっとひしめき合う様にブドウ畑が広がっていると思っていたので、意外にも草原や牧草地が多いことに驚きました。

道路沿いをしばらく走っていると木陰で休む牛の姿が見え、山から湧き出てくるような雲が相乗効果となり、日常の景色を特別な景色に変えてしまう自然の演出には思わず言葉を失います。この日のハンターバレーは、大地だけでなく美しい空にも見惚れる1日でした。

走ってきた道を振り返って見る ”なだらかな丘” は、見た目よりもかなり上るのが大変で、ホテルの方のアドバイス通りE-bikeにしておいて良かったと心から思った思い出の丘。

そしてホテルを出発してから25分、1つ目のワイナリーである『Ivanhoe Wine』に到着しました。

ここは、POKOLBIN地区よりも南にある「PARISH OF POKOLBIN地区」に位置し、起伏のある山に囲まれた「MOUNT VIEW地区」にも近い為、周囲をなだらかな山々に囲まれています。

『Ivanhoe Wines』は小規模で高品質なワインを生産する ”ブティックワイナリー” で、建物もこじんまりとしています。とは言え、歴史は長く、現在はワイン醸造一家の5代目が経営を行い、畑には50年物のブドウの木が多数あり、長く受け継がれた技と新しい知識とを融合させて高品質なワインを生み出し続けています。

白いとんがり屋根に青い壁という愛らしい建物の前には、アーティストMichael Van Dam氏によって作られたステンレススチールチェーン製の彫刻「The Hands」が出迎えてくれました。

このワイナリーでは、事前にホームページでCellar Doorの予約を13:00に入れていました。

*『Cellar Door(セラードア)』とは…
ワイナリーで、生産者からワインの説明を直接聞き、ワインの試飲と購入が行える場・機会のこと。

建物の中に入り予約していることを伝えると、「待ってたわ、さーこちらへ!」とすぐに屋外テラスのテーブルに案内されました。テラスからはハンターバレーの美しい景色が眺められ、小規模ワイナリーらしいアットホームな雰囲気に包まれていて、とても居心地の良い空間です。

案内されたテーブルの真正面には、ブドウ畑と緩やかな山とが織りなす起伏ある景色が広がり、アーティストMichael Van Dam氏によって作られた「Knight」が、Ivanhoe Winesの象徴として佇んでいます。

”そう、この景色を私は見たかったの…..”

暫く景色に見惚れていると、ドライフルーツやクラッカー、チーズなどの盛り合わプレートが運ばれてきて、ワインテイスティングの始まりです。

ワインを試飲しながら軽めのランチを食べたいと思ったので、盛り合わせプレートの含まれる「Masterclass Experience(一人:A$30)」プランを予約していました。

ワインテイスティングは、甘目のロゼワインから始まり、シラーズ(Shiraz)品種の赤ワインを中心に数種類のワインをいただきました。沢山は飲めないので、どれも口に含む程度ではありましたが、Ivanhoeでいただいたワインは比較的辛口でスパイシーな味わいのものが多く、オーストラリアワインは果実味が強いと思っていた私にとって、終始新たなワインとの出会いでした。

ワインの知識がほとんどない私でも十分楽しめるほど生産者の方との会話も有意義で、気付けばIvanhoe自慢の景色に、壮大な雲が空一面に広がっていました。

ワインテイスティングを楽しんだ後は、ワイナリーの前に広がる庭を少し散策。
色とりどりの花が咲いていることで、青い建物と緑のブドウ畑とのコントラストが美しく、どの角度から眺めてもこのワイナリーは本当に絵になる。。。

ワインテイスティング中にスタッフの方から「いつもはウチのアヒルが散歩しているんだけど、今足を痛めていて小屋で休息しているの」と聞いていたのですが、気づけば2羽のアヒルが庭を歩いていて、その姿が何とも愛らしく、

また、庭に造られた小さな池に目を向ければカルガモ家族も浮かんでいて、『Ivanhoe Wines』は想像以上に牧歌的で笑みの絶えない温かい場所でした。

芳醇なワインと美しい景色に心満たされたので、次なるワイナリー『Vinden Wines』を目指します。

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