シドニー旅行記2024⑧ ~ハンターバレーは美しい景色の宝庫~

2024年3月に6日間旅したオーストラリア、シドニー。1都市だけの滞在でしたが、多くの魅力を感じ、想像以上に刺激を受ける旅になりました。旅行記を通してシドニーの奥深い魅力を感じていただけると嬉しいです。

* * * * * *

【旅の行程】
1日目:朝シドニー着、街の散策 <シドニー泊>
2日目:シドニー→ブルーマウンテンズへ <ブルーマウンテンズ泊>
3日目:ブルーマウンテンズ観光 <ブルーマウンテンズ泊>
4日目:ブルーマウンテンズ→ハンターバレーへ <ハンターバレー泊> ☚今はココ
5日目:ハンターバレー→シドニーへ <シドニー泊>
6日目:街の散策 <シドニー泊>
7日目:午後の便で日本へ

緩やかな山の斜面にブドウ畑が広がる『Ivanhoe Wines』を後にし、次なるワイナリー『Vinden Wines』へ。

自転車をこいでいる間も、Ivanhoe Winesで見た壮大な景色を思い出しては、自然と笑みがこぼれてしまうという至福の時間。思えば、ハンターバレーに到着するまでもオーストラリアの自然に圧倒されっぱなしの日々を過ごし、旅行前には想像もできなかったパワーを今回の旅からもらっている気がします。

そんなことを思い起こしながら、ただひたすらにブドウ畑の間を走り抜けていきます。

自転車が走る道は車道と並行するように造られており、コンクリートで舗装された所もあれば、下の写真のように道路の片方部分にだけ、あぜ道のような道が造られている所もあります。ブドウ畑が広がるすぐ横には生命力溢れる木々が立ち並び、どこかアンバランスに感じるこの組み合わせも、様々な自然が共存し合うオーストラリアではごく普通の景色で、旅を重ねていくうちにこの自由さが心地良くなってくるのです。
まさに、オーストラリア・マジック!

自転車移動の良いところは、窓というフィルターを通さずに美しい景色が眺められることと、いつでも立ち止まって写真が撮れること。真横にブドウ畑が広がっている間は、進んでは立ち止まるの繰り返しでした。

とは言え、1つ目のワイナリーに向かう途中、上り坂で自転車を降りてしまい、その途端に鉄の塊と化した電動自転車を必死で押して坂を登りきるという苦い経験をしたので、上り坂が見えてきた辺りからは絶対に立ち止まらないと自分に言い聞かせ、何とか予定通り25分で『Vinden Wines』に辿り着きました。

『Vinden Wines』は、起伏ある丘に建つ1軒目のワイナリー「Ivanhoe Wines」とは異なり、ブドウ畑のない平坦な土地に建っているので、一見すると、美しい庭に囲まれた南仏風の邸宅のようにも見えます。

日本の柳のような木々をくぐり抜け、雰囲気の良いレストランに入るかのように、そっと扉を開けると、

「うわぁ。。。素敵。。」
思わずそんな声がこぼれてしまう程の、優しい色彩に包まれたお洒落な空間。。。

ワイナリーのホームページで、この空間を見た瞬間に一目惚れして『Vinden Wines』を選んだのですが、実際はその何十倍も素敵で、白い格子状の窓とその先に広がるブドウ畑との調和があまりにも美しく、こんなにもインテリアで魅せられるワイナリーがあるのかと、興奮が止まりませんでした。

ワインテイスティング用の長いテーブルから真っ直ぐその先を眺めると、ほぼ全てが左右対称のシンメトリーデザインになっていて、色味を持たないワイングラスや格子状の窓ガラスが、色彩ある景色を美しく引き立たせてくれているのがわかります。

「こんな空間で、毎朝朝食が食べられたら、どんなに素敵だろう・・・」
ここがワイナリーであることを忘れて、そんな妄想までしてしまう程、居心地の良い空間でした。

そして、1軒目の「Ivanhoe Wines」もそうであったように、ワイナリーの建物から眺められる景色がとにかく素晴らしく、ワイン愛好家たちに最高の景色とワインを味わって欲しいという作り手の熱い思いが伝わってくる様です。

カウンターテーブルの真ん中には鉄の入れ物を埋め込める穴が開いていて、そこに沢山のワインコルクが詰まれているディスプレイも本当に素敵。

ここ『Vinden Wines』の歴史はまだ浅く、1990年にVinden Estateを設立。
その後、ご両親からワイナリーを受け継いだアンガス氏が現在の Vinden Wines に名称を改め、ハンターバレーの伝統的な生産スタイルを守りつつ、新たな品種の栽培や人の手をできるだけ介入させないナチュラル製法を取り入れることで、独自のワイン造りを確立させた新星ワイナリー。その独自のスタイルが、斬新且つ個性的なワイナリーのインテリアにも反映されているようでした。

ちなみに、ワインのラベルに描かれている方が生産者のアンガス氏。私たちが訪れた時も、庭仕事の真っ最中で、生産者とお客との距離が近いワイナリーなんだなぁと感じました。

このワイナリーでも、事前にホームページからCellar Doorの予約を15:00に入れていました。

とは言え、この日は平日の水曜日で夕方に近い時間帯だったので、混み合うこともなくゲストは私たちのみの貸し切り状態。一番座りたいと思っていたブドウ畑を真正面に眺められるカウンター席に座り、テイスティングはせずに、すっきりとした白ワインでお勧めのものを出してきてもらい、1杯だけいただくことにしました。

ワインを味わった後は、少し庭とその先に広がるブドウ畑を散策。
ブドウ畑はもっと起伏のある丘に広がるものだと勝手にイメージしていた私には、Vinden Winesのそれがあまりにも想像とは異なり、森林の中にブドウ畑があるような不思議な景色に、実際ハンターバレーに来てみないとわからないことが沢山ある、と実感させられる一時でもありました。

Vinden Winesを後にし、自転車で私たちのホテル「Spicers Guest House」へ戻ります。
ハンターバレーで訪れたワイナリーは、Ivanhoe Wines と Vinden Wines の2箇所のみ。それでも、ワインにそれ程詳しくない私たちにとって、メインの目的はお気に入りのワインを探すことではなく、ハンターバレーの美しい景色とワイナリーの雰囲気を堪能することだったので、自分の感性で選んだワイナリーを地図を見ながら自転車で駆け巡った時間は想像以上に思い出深く、ハンターバレーを全身で味わうことができました。

ホテルに着いたのは17時。それでもオーストラリアの3月は日が長く、まだまだ日中の陽気が続いています。自転車を返却しチェックイン、お部屋で寛ごうかと思いましたが、ホテルの敷地内も素敵だったので、夕食までの時間を利用して少し散策することに。

客室はいくつかの棟に分かれており、それぞれが屋外にある渡り廊下で結ばれています。その廊下の一角に、白い柱に緑の蔦が絡みつく絵本から飛び出したような寛ぎスペースがあります。

緑と白の色のコントラストがとにかく美しく、遠く先に覗かせる木々も絵画のようで、そこにお洒落なライトがぶら下げられていて、オーストラリアのセンスの良さにただただ圧倒される空間。
このホテルで挙式を行う人も多く、この場所はウェディングフォトの撮影にも使われています。

そして、レストラン&バーの前に広がる広大な草原に出てみると、何本も佇むユーカリの木の群生地帯。手前には、冬になると焚き火を囲めるスペースがあります。

草原からホテルを振り返ると、存在感のあるユーカリの木が美しいフォルムをなし、その下に本物のカンガルーが寝そべっているようなモニュメントが置かれています。ハンターバレーのブドウ畑ではよく野生のカンガルーが現れるそうですが、このホテルの草原にも朝早くにカンガルーが現れることがあるんだとか。。。

それにしても、ユーカリの木って、鳥の巣がいっぱい合わさったような形をしていて、本当に独特。日本で見慣れていないせいか、私はこの姿に何故か惹かれてしまいます。

林の方へ歩き進むと、真っ直ぐに伸びる木々が幾重にも重なる姿が本当に幻想的で美しく、人工の小さな湖まであって、ここがホテルの敷地内であることを忘れてしまいそうになります。

日が暮れ始めると辺りはだんだんと暗くなり、木々が描き出す緑のグラデーションが薄まってきました。
そろそろ夕食の時間が近づいてきたので、ホテル内のレストランへ移動します。

ホテル内のレストラン「eRemo」はイタリア料理を提供しており、私たちはサラダ、タコの炭火焼、パスタ、ミラノ風ポークカツレツなどを注文しました。パスタは少し柔らか過ぎる印象でしたが、それ以外はどれも美味しく満足だったのですが、前日に滞在したブルーマウンテンズの『Spicers Sangoma Retreat』で、想像を遥かに超える絶品の夕食を経験してしまった後だったので、美味しさの感動が少し薄れてしまった気がします。

夕食を食べながら窓の外を眺めていると、空がどんどんと夕暮れ色に染まり始めました。
食事を一旦休憩して外に出てみると、草原全体が薄いピンク色に覆われ始めノスタルジックな雰囲気に。

そして、いよいよ日が沈むと、空は紫・ピンク・オレンジが混在するトワイライトに変化し、ホテルや木々全てが真っ黒なシルエットになりました。

ワイングラスを片手に談笑するゲストの話し声と共に変わりゆく空を眺めながら、今日1日で出会った様々なハンターバレーの景色を思い起こします。

ブドウ畑だけが広がる丘陵地帯を想像していたのに、家畜が横たわる草原があったり、大空をキャンバスにダイナミックに描かれる雲に圧倒されたり、インテリアが素敵なワイナリーに魅せられたり、フォルムの美しい木々に囲まれたり、、、ハンターバレーはシドニー市内やブルーマウンテンズでは味わえない美しい景色の宝庫でした。

さて、明日はどんなハンターバレーに出会えるのか。。。

タイトルとURLをコピーしました