メルボルン旅行⑥ ~メルボルンの街歩き、レトロな街 × 建築美 × 緑の庭園~

2025年2月に5日間旅したオーストラリア「メルボルン」。旅の半分を郊外に滞在し、街だけでは知り得ないメルボルンの魅力に触れてきました。この旅行記通してメルボルンの奥深さを感じていただけると嬉しいです。

* * * * * *

【旅の行程】
1日目:午前 成田発→シンガポール経由→メルボルンへ <機内泊>
2日目:朝メルボルン着、バララット & デイルスフォードへ <デイルスフォード泊>
3日目:デイルスフォード観光(農場&町歩き)<デイルスフォード泊>
4日目:デイルスフォード → ヤラバレーへ <ヤラバレー泊>
5日目:ワイナリー巡り、ヤラバレー → メルボルンへ <メルボルン泊>
6日目:メルボルンの街散策 <メルボルン泊>
7日目:メルボルンの街散策、午後の便で日本へ

今回の旅では、飛行機を降りた後、都会の喧騒に触れることなく3日間かけて郊外を巡り、頭も身体もゆったりとした時の流れと自然美に慣れ親しんできたので、メルボルンの街に到着した初日は、あまりの賑わいと雑多感に心が追い付かず、”この街を好きになれるだろうか・・・” というのが正直な気持ちでした。

ですが、実際、街歩きをしてみると、メルボルンという街の中にどれだけの個性・魅力が散らばっているのだろうと驚きと発見の連続で、旅を終えた今、私と母が共通して抱く思いは、「もう一度、あのメルボルンに帰りたい」「メルボルンの深みをもっと味わいたい」でした。

そんな知れば知るほど味わいが増すメルボルンの魅力について綴っていきたいと思います。

絶景を求めて、ヤラ川沿いのホテルに宿泊

メルボルンの街に滞在するなら、どのホテルに泊まろう。。?
①主要観光スポットやカフェ&レストランにアクセスしやすい中心地(CBD)にあるホテル
②部屋数がそれ程多くなく、低層で落ち着いた雰囲気の隠れ家ホテル
③メルボルンらしい芸術性や現代アートが感じられる個性派ホテル
どれも捨てがたく、一つに絞ることはできないし、直感的にここに泊まりたいというホテルも見つからない。

であれば、利便性や滞在の心地良さではなく、街歩きでは体験できないことをホテルでできるとしたら私は何を求めるだろうと考えた時に、真っ先に頭に浮かんだのが、「歩道とは異なる目線でメルボルンのビル群を眺めてみたい」でした。

それは展望台のように高い位置から見下ろすものではなく、ビル群がずらっと並ぶ姿。その景色を窓越しではなく、外のテラスから直接眺められる部屋に泊まりたいと思い、再度ホテルを探した結果、最終的にヤラ川沿いに建つ『The Langham Melbourne』に辿り着きました。

そんなホテルのすぐ近くを流れるヤラ川は、単に街を東西に貫いているわけではなく、街の個性を分断化する境界線のような役割を担っているのか、橋を渡る度に別の街に足を踏み入れたかのような感覚になります。

メルボルンの中心「CBD」がある北側は活気・賑わい・雑多で溢れているのに対し、私が滞在したホテル『The Langham Melbourne』がある南側は整然とした落ち着き・静寂が広がっていて、北側を歩けば人々の鼓動や息づかいをダイレクトに感じ、南側を歩けば自然の音に耳を傾けたくなる穏やかな時間が流れ、ヤラ川を境にこんなにも印象が変わるのか、、と地図の上からではわからない表情の違いを感じました。

ヤラ川沿いにある水上バーには小さなプールが造られており、足を浸けながら会話を楽しむ人達の笑い声が一際周辺に活気を与えていて、2月後半でもまだまだエネルギッシュな夏を感じる水辺の風景。

そんなヤラ川沿いの景色を眺めながら、街の象徴でもある『フリンダース・ストリート駅』に到着。
1854年に開業したオーストラリア最古の鉄道駅という歴史ある存在であるはずなのに、どこか真新しさを感じてしまうのは、2017年に外壁を塗り直すという大掛かりな改修工事が行われたからなのか、歴史の重みよりも色彩の鮮やかさが際立つ街のシンボル ー それが私の第一印象でした。

駅前に伸びるフリンダースストリートは、歴史を感じさせる建物と現代風の建物とが入り混じり、様々な色と質感が混在する雑多感に溢れていて、その中を行き交う人やトラムを見ているだけで、メルボルンの熱量が体にひしひしと伝わってきます。ただ、ゆったりとした郊外の風景に慣れ過ぎていた私達にとって、この街並みは少々刺激が強く、「ちょっと思い描いていた街並みとは違う…」 という戸惑いが、頭の中を駆け巡っていました。

でも、こう感じたのは街に到着した初日だけで、その後いろんな場所に足を運んでみると、様々な街の表情に出会い、メルボルンには一体どれだけの顔があるのだろうと、その魅力に引き込まれていったのです。

昔にタイムスリップ!ノース・メルボルン

まずは、メルボルンの着飾らない日常を味わうために街で一番の規模を誇る『Queen Victoria Market』へ。
フリンダース・ストリート駅からクイーン・ビクトリア・マーケット駅までは無料のトラムで移動しました。
(どちらの駅も 無料でトラムに乗れるFree Tram Zone内に位置しているので、メルボルンの交通系ICカード:Mykiカードをタッチする必要なく無料で乗車が可能です。)

私がイメージする海外の市場と言えば・・・
活気に溢れ、海外ならではのディスプレイの美しさや色彩豊かな名産品・ 特産品に魅せられる場所

そんな期待を胸に、まずはQueen Victoria Marketの、パン・コーヒー・惣菜・ハム&サラミなどのお店が集まる建物へ。きっと各お店が個性を競い合うようにひしめき合っているんだろうと想像していたのですが、実際には店ごとに仕切りがあり、全体的にすっきりとした印象で、活気というよりは整然とした雰囲気が勝っており、カラフルさや賑やかさをあまり感じない市場の風景が広がっていました。

その他にも、生鮮食品を扱う建物、民芸品・衣類・日用品を扱う建物など、商品ごとに建物が分かれており、地元の人に親しまれるグルメや掘り出し物を見つけるには面白い場所なのですが、どのエリアも実用的かつ庶民的で、市場特有の熱気や活気、魅力的な商品ディスプレイを期待していた私には少し物足りなさを感じてしまう、、、というのが率直な感想でした。

とは言え、それだけで終わらないのがメルボルンの秘めたる魅力。
Queen Victoria Marketよりも更に北に広がるノース・メルボルン の雰囲気が想像以上に素敵で、メルボルンという街の本当の面白さに気付くきっかけを与えてくれました。

ノース・メルボルンを目指した理由は、市場から歩いて15分程のところ行きたいカフェがあったから。
信号を待っている間、ふと後ろを振り返ると、近未来風の高層ビルが乱立する横に、1878年創業という昔の面影が残るQueen Victoria Marketが広がっていて、まるでビル群はCG画像なんじゃないのかと思ってしまうほど、街がくっきりと二分化されていました。

その景色だけでも十分個性的なのに、ノース・メルボルン側の街並みは更に異質で、近代的なビルが一切なく、レトロな建物だけが所狭しと並び、通りを境に街の表情が昔へとタイムスリップしたかのようにガラッと様変わりするのです。頭上に張り巡らされた蜘蛛の巣のようなトラムの電線だけが、現在の面影を残しているようでした。

歩き進むにつれて、荘厳なゴシック建築の聖マリア・スター・オブ・ザ・シー教会や、赤い外観が特徴のシモン・カソリック大学など、歴史深い建物が次々と姿を現し、街の中心で感じた雑多感とは無縁の古き良き街並みが続きます。

そんな昔ながらの雰囲気が心地良く、この街並みの中をずっと歩いていたいと思い始めたところに、突如現れる現代風トラム。あのトラムがレトロな車体ならもっと街並みに合うのにと思う一方で、周りの景色に同調することなく走り抜ける姿は、多様な人種や文化を尊重するメルボルンの気風をそのまま表現しているようにも感じ、その自由さこそがメルボルンの魅力なのかもしれないと、徐々に思えるようになってきました。

更に歩き進むと、昔ながらのファサード(建物の正面から見た外観)を持つ建物が行儀よく立ち並んでいたり、

重厚感のある建物がコミュニティーセンターや図書館に使われていたり。
メルボルンには古い街並みが残るエリアは他にもありますが、ノース・メルボルンは現代風にアレンジされることなく昔の姿がそのまま残されていて、静かな環境で古き良き街並みを味わうには最高の場所でした。

そんな趣きある建物に目を奪われながら、目的地であるカフェ『Auction Rooms』に到着。
くすんだ青色の壁と可愛いファサードを持つこのカフェに惹かれノース・メルボルンを訪れましたが、思いがけずノスタルジックな街並みにも遭遇し、一石二鳥のようなカフェ散歩になりました。

店内へ入ると、この日は日曜日ということもあり席はすでに8割ほど埋まっており、週末特有のゆったりとした時間が流れていました。スタッフの方に連れられ案内されたのは、天井から光が差し込むレンガ造りの小部屋で、レトロな雰囲気がノース・メルボルンの街並みにぴったり。メニューを手渡され、事前に調べておいた ”ティラミストースト” と、喉の渇きを潤せるアイスラテを注文しました。

ティラミストーストが運ばれてくると、始めはクリームたっぷりの見た目に少し驚いた母も、一口入れると甘さ控えめでコーヒー風味がふわっと広がり、後追いでやって来るトーストの温かさとアイスの冷たさという相乗効果に自然と笑みがこぼれ、一瞬にしてメルボルンのカフェクオリティの高さに魅了されてしまいました。

メルボルンのカフェはただお洒落というわけではなく、1歩足を踏み入れた途端に独自の世界観に包み込まれ、味わい深いコーヒーと本格的な食事に真の安らぎを感じ、カフェを出た後も暫く幸せな余韻が続くという、一連の流れが確立されていて、そんなカフェが2000軒以上あるというのだから、メルボルンが世界有数のカフェ文化を誇る都市と言われるのも頷けます。

帰り道、同じ通りを歩いていると、行きには気付かなかった素敵なウォールアートに遭遇しました。それは、中心地の路地でよく目にする魂の叫びのような刺激的な絵とは異なり、オーストラリアの自然の豊かさと極彩色がダイナミックに表現された心休まる作品で、メルボルンの街で見つけたお気に入りの1枚になりました。

オーストラリアの街を歩けば必ずと言っていい程よく目にする屋根付きの通り。本来は、日よけや雨除けのために造られたものですが、ノース・メルボルンではその寂れた屋根ですら街のノスタルジックさを引き立てているように見えるのだから不思議です。

そんな屋根の下では人々がテーブルを囲んで思い思いに食事を楽しみ、さっき訪れたカフェとは一味違う地元感が滲み出ていて、また一つメルボルンの何気ない日常を垣間見れた気がしました。

刺激的な街から少し離れて、ゆっくりとした時間軸の中で古き良きメルボルンを味わう。。
そういう目的として、ノース・メルボルンはぴったりの場所でした。

街の中心で建築美&自然美に触れる

ノスタルジックな街並み&カフェを堪能した後は、 ”世界で最も美しい図書館の一つ” と称されるメルボルンの代表的な建築美『ビクトリア州立図書館(State Library Victoria)』へ。
メルボルンの街が誕生してから僅か20年後の1854年に設立され、オーストラリアで最古の公共図書館であると共に、世界でもかなり早い段階に登場した無料の図書館でもあるそうです。

この建物の中で一際人気を博しているのが、1913年にオープンした『La Trobe Reading Room(ラ・トローブ・リーディング・ルーム)』という名の閲覧室で、6階分の高さを誇る吹き抜け、それを取り囲む白亜の壁、八角形のドーム型構造が、壮麗な開放空間を造り上げています。壁の側面には、本棚とバルコニーが交互に造られ、本への敬意が感じられる陳列の美しさと、劇場を思わせる気品高い装飾の両方を併せ持つこの空間を、本を読むためだけの場として人々に無料提供しているメルボルンの寛大さには、ただただ感服するばかりでした。
「国民に対して、どれだけの無料投資をしているのだろう。。。」と。

閲覧室のデスクがあるフロアへは誰でも自由に入室可能で、実際に椅子に座って本を閲覧することもできます。また、側面に造られたバルコニーへはエレベーターでアクセスでき、各階のバルコニーから閲覧室を見下ろすと、より一層スケールの大きさと放射状に置かれたデスクの美しさを実感することができます。

そして、全ての建築・装飾が左右対称のシンメトリデザインで造られているので、どの角度から眺めても均整の取れた美しさが感じられ、特にアーチ状のバルコニーから柱の彫刻を額縁にして眺める閲覧室は、あらゆる建築美を集約させた絵画のような景色でした。

この建築美の余韻に浸りながら、次に足を延ばして欲しいのが、図書館から徒歩10分程の距離にある『カールトン庭園』。王立展示館へと続く美しい並木道に足を踏み入れ途端、別次元のマイナスイオンに包み込まれ、ここがメルボルンの中心であることを忘れてしまう程、圧倒的な自然美が迎えてくれるのです。

木と木の間にはベンチが置かれていて、図書館の流れで引き続き読書を楽しむには最高の屋外図書館になり、カフェや市場でテイクアウトした軽食を食べるにも絶好のロケーションで、

母と私は、ただベンチに座って目の前に広がる緑の楽園に身を任せるという、心の浄化を堪能しました。

暫くベンチで自然浴を楽しんだ後は、並木道の先にある王立展示館へ。ヨーロッパ調の白亜の展示館は、1880年に開催された国際博覧会のために建てられたもので、2004年にカールトン庭園と共に世界遺産に登録されました。

その美しさは外観だけにとどまらず、内部にあるドーム型の天井や十字型の展示室にも見事な装飾が施さているので、時間があれば館内も見学してみたい場所でした。この展示館では毎年11月下旬~12月初旬の3日間「The Big Design Market」というイベントが開催され、オーストラリアやニュージーランドのアーティストによる個性的な雑貨やアート作品が数多く展示されるそうなので、旅行時期を調整できるなら、アーティストの作品と展示館の内部の両方を堪能できるこの時期に訪れるのも面白そうだなと、今更にして思いを巡らせています。

王立展示館の前に佇む風格のある噴水。そこから滴り落ちる水しぶきは本当に涼し気で、その水を目当てに次から次と舞い降りる小鳥たちを見ているだけでも心が癒されます。この場所は、野鳥たちにとっても都会の中のオアシスになっているようです。

カールトン庭園で見られる自然美は、美しい並木道だけでなく、あちこちに点在するダイナミックな巨木もその一つで、生命力みなぎるその姿は、自然が長年培ってきた偉大なる力を物語っているようでした。

緑の中に浮かび上がる木のフォルムは、一つとして同じものがなく、それぞれに味わいがあり、個性を重んじるメルボルンらしく ”ありのままの姿が一番美しい” と教えられているようでした。

メルボルンの街を初めて散策した時は、その雑多感に飲み込まれてしまいそうになり、私はこの街に馴染めるのだろうかと不安に感じることもありました。
ですが、「ノース・メルボルン」「ビクトリア州立図書館」「カールトン庭園&王立展示館」と訪れていくうちに、どの場所にも違う形の美しさがあることに気付き、全てメルボルンの街の中にあるのにまるで別の場所を旅しているような感覚すら覚え、もっと探せば他の魅力が見つかるのでは。。と更なる期待を抱くまでになっていきました。
そして、更に他のエリアに足を運んでみると、街全体がアート作品であることにも気付き、メルボルンの底知れぬ魅力にはまっていったのです。

【後編】では、メルボルンのアートな街並みについて書き綴ろうと思います。

タイトルとURLをコピーしました